Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
――外にお駒を殺す者はなし、こんな弱ったことがない。どう考えても解らないから、兄哥へ智恵を借りに来たんだが、――どうしたものだろう」
喜三郎は若くて淡白でした。近頃江戸中を圧する平次の名声を妬む色もなく、同じ御用を承る身の恥を忍んで、こう智恵を借りに来たのです。
年の頃も平次と同年輩、平次の抜群の男前に比べると、少し頑固で無器用ですが、江戸ッ子肌らしい、物にこだわらぬ気象が人に親しませます。
「兄哥、有難え、こっちからお礼を言うよ。――実は俺にも少し考えがあったんだが、縄張がうるさいから、黙っていたんだ。――兄哥でもなきァ、こんな事を淡白相談に来ちゃくれまい」
平次は両掌を揉み合せて喜んでおります。
「そう言われると俺も器量がよくなるが、実はここの入口に立った時は、穴へでも入りたかったよ」
「八の野郎がとんでもない事を言やがるからだ。――気を悪くしないでくれ、後でうんと油を取っておくから」
平次の話を聴くと、ガラッ八は向うの方でピョイピョイとお辞儀をしております。膝小僧がハミ出した狭い袷、髷の刷毛先の、神田っ子らしく、左へ曲っているのも間が抜けます。
「八兄哥に悪いことは少しもない。