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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
何を隠しましょう、お駒を殺したのは、この私で――」
「何だと?」
「何べんでも申します。お駒を殺したのは、この岩松に相違ございません、――お駒の父の房五郎は、私に罪を背負わせて四年前島へ送らせた上、御赦免になって江戸へ帰るのを邪魔し、一人で好い児になろうとしたほどの悪党でございます。打ち殺すのはわけもないが、一と思いに殺しちゃ、苦しめようが足りないから、眼の玉のように大事にしている、房五郎の娘を殺してやりました。――弟の仕事場から、切出しを持って行ったのが大縮尻で、何にも知らない弟に罪を被せちゃ、見ているわけに参りません。弟がお駒殺しを白状したなら、それはこの兄を庇うためで、――気の弱いあの野郎にしちゃ、一代の大出来でございます」
岩松の白状は予想外でした。いや、予想外であるべきはずですが、平次も、喜三郎も、笹野新三郎も少しも驚く色のなかったのは何としたことでしょう。
「嘘を吐けッ」
「へッ」
平次の声は辛辣に岩松の口を緘しました。
「お前はどうせ島帰りだから、世間の人に白い眼で見られるよりはと、弟の罪を背負って行く積りだろう」
「とんでもない、親分」
「それじゃ聞くが、切出しは弟の仕事場から持出して、どんな具合にして持って行ったんだ」