Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens

Aozora Bunko

「黙っていろ、――人に聴かれちゃ悪い」

家をグルリと一と囲り、田圃の中に建っているので、隣との連絡もなく、何の手掛りがあろうとも思われません。

「親分、これは足跡じゃありませんか?」

八五郎は流れを越えて、格子の前へ来る荒れ果てた道を指しました。

「なるほど、足跡には相違あるまいが、恐ろしく沢山あるじゃないか。三人分か四人分の足跡だぜ」

そう言いながらも平次は、窓から離れて、小さい流れの方へ進みます。幅は一間ばかり、さして深くはありませんが、飛越すとなるとちょっと不気味です。

「向うへ渡ってみましょうか」

「行ってみたいが、橋はないな」

「棒がありゃ越せますよ」

「向うにあるじゃないか」

平次は流れの向うを指しました。泥の中に突っ立った握り太の竹竿が一本。

「持って来ましょうか」

ガラッ八は身を躍らせました。危ういところで向う岸へ這い上がって、しばらく道化た顔をして見せます。

「その竹竿を投ってくれ」

「ハイよ」

ポンと投った竹竿、平次はその尖を握っていやな顔をしました。上へも下へもべッとり泥が付いているのです。

「もう沢山だ。八、帰ろうぜ」

「何か見付かりましたか、親分?」