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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens

Aozora Bunko

お滝に弄ばれたような気持で、平次はムシャクシャしながら神田へ帰って来ました。

「親分、いろいろの事が判りましたぜ」

それを待ち構えていたのはガラッ八の八五郎です。

「何が判ったんだ、順序を立てて言ってみるがいい」

と平次。

「順序も何もありゃしません。お茶番へ出た連中で、宗次郎に怨みのないのは一人もないくらいのもので」

「フーム」

「虚無僧になった油屋の兼吉は、出雲屋から金を借りて、眼玉の飛出すような高い利息を七年越し払わされてますぜ」

「それから」

「六部になった倉松は、町内の顔役で、日頃宗次郎とは、角突き合いばかりしていますよ。宗次郎が死んで一番伸び伸びするのは倉松で」

「フーム」

「遊び人の良助は女の怨みだ。――出雲屋の新造というのは元吉原の芸者で、良助と深い仲だったというから、これも命の二つや三つは取りたかったでしょう。それから――」

「まだあるのか」

「番頭の喜八、これは馬道の店で留守をしていたそうですが、近所で訊いてみると、遣い込みだらけですよ――それから女房のお夏は芸妓上がりのくせに恐ろしい嫉妬で、亭主の首を締め兼ねない女だという評判ですぜ」

「首を締めたんじゃない、虚無僧になって飛鳥山で返り討ちにしたんだ。