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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 156,866 characters · 318 screens
「女の着物を着ていたでしょう」
「その通りだ。女かと思って引っ捕えるとその男だ。――剥いだ女の袷は、片袖千切れていた」
「有難い、旦那、それで何もかも判りました、腹を切るには及びません」
「何?」
「八、それッ」
平次が声を掛けるまでもありません。八五郎は飛付いて、逃げ腰になる捨吉を押えたのです。
「な、何をしやがるんだ」
綺麗な顔を引歪めて争う捨吉。
「お勘殺しの下手人だ、――いや、それよりも、十次郎様に上げた菓子へ、岩見銀山の鼠取り薬を仕込んだのは手前だ」
平次の言葉は凜として響きます。
「嘘だ嘘だ、俺はそんな覚えはねえ」
「いやある。お銀さんを小堀様の屋敷へ返さないために、そんな悪企みをしたはずだ。――手前は五年前からお銀さんを付け廻したが、小堀様のお屋敷へ上がると、妹のお徳に乗り替えたのだ。ところが、お銀様が帰ると、またお徳が嫌になった。お銀様が小堀様お屋敷へ返さないようにする細工に、手前はお菓子へ毒を入れたろう――若様を亡き者にすれば、お銀さんはお屋敷へ帰る手蔓が無くなるから行く行くはお前の張った罠に落ちて来ると見込んだろう」
「嘘だ嘘だ」
「その上お勘坊をだまして菓子を捨てさせ、お勘坊の口が割れそうになると、もう一度騙して家出をさせ、お徳の着物を着て、奥の部屋から抜出し、お勘坊を川へ突落して、その罪を女房のお徳