Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
三
なられようとは! 夫人、誰かあなたに同情をさゝげずに居られましょう乎。如何に頑固な先生の加担者でも、如何程苦り切ったあなたの敵対者でも、堪え難いあなたの苦痛と断腸の悲哀とは、其幾分を感ぜずに居られません。彼池の滸りの一刹那を思うては、戦慄せずには居られません。
三
然し夫人、世に先生を非難する者の多かった様に、あなたを非難する者も少くありませんでした。白状します、私も其一人でした。トルストイと云う様な偉大な名は、世界の目標です。先生や先生の一家一門の所作は、万人の具に瞻る所、批評の的であります。そこで先生の哀しい最期前後の出来事は、如何様な微細な事までも、世界中の新聞雑誌に掲載されて、色々の評判を惹起しました。私は漏らさず其記事を見ました。無論誤報曲説も多かったでしょう。針小棒大の記事も沢山あったに違いありません。然し打明けて云えば、其記事については、私は非常に心を痛むる事が多かった。打明けて云えば、夫人、私はあなたに対して少からぬ不平があったのです。勿論白が弥白くなれば、鼠色も純黒に勢なる様なもので、故先生があまりに物的自我を捨てようとせられた為、其反動の余勢であなたは実際以上に自己を主張されねばならぬ様なハメになられたこともありましょう。