Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
九
下肥ひきの弁当に稗の飯でも持って行けば、冷たい稗はザラ/\して咽を通らぬ。湯でも水でもぶっかけてざぶ/\流し込むのである。若い者の楽の一は、食う事である。主人は麦を食って、自分に稗を食わした、と忿って飛び出した作代もある。
九
九月は農家の厄月、二百十日、二百二十日を眼の前に控えて、朔日には風祭をする。麦桑に雹を気づかった農家は、稲に風を気づかわねばならぬ。九月は農家の鳴戸の瀬戸だ。瀬戸を過ぐれば秋の彼岸。蚊帳を仕舞う。おかみや娘の夜延仕事が忙しくなる。秋の田園詩人の百舌鳥が、高い栗の梢から声高々と鳴きちぎる。栗が笑む。豆の葉が黄ばむ。雁来紅が染むを相図に、夜は空高く雁の音がする。林の中、道草の中、家の中まで入り込んで、虫と云う虫が鳴き立てる。早稲が黄ろくなりそめる。蕎麦の花は雪の様だ。彼岸花と云う曼珠沙華は、此辺に少ない。此あたりの彼岸花は、萩、女郎花、嫁菜の花、何よりも初秋の栄を見せるのが、紅く白く沢々と絹総を靡かす様な花薄である。子供が其れを剪って来て、十五夜の名月様に上げる。萱は葺料にして長もちするので、小麦からの一束五厘に対し、萱は一銭も其上もする。