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Japanische Klassiker mit Furigana

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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

八

魂の彼女は其時早く太平洋を渡って帰って来たのであった。

彼はお馨さんの兄さんと共に葛城家へ往ってあとの相談をすることにした。阿爺さんは是非新築中の別荘を見て呉れと云って、草履をつッかけて案内に立った。酒ぶとりした六十翁の、溝を刎ね越え、阪を駈け上る元気は、心の苦から逃れようとする犠牲のもがきの様で、彼の心を傷ませた。やがて別荘に来た。其は街道の近くにある田圃の中の孤丘を削って其上に建てられた別荘で、質素な然し堅牢なものであった。西には富士も望まれた。南には九十九里の海――太平洋の一片が浅黄リボンの様に見える。お馨さんは去年此処の海を犬吠ヶ崎の方へ上って米国に渡ったのである。「如何です、海が見えましょう。馨が見えるかも知れん」と主翁が云う。広々とした座敷を指して、「葛城さんが帰って来たら、此処で祝言させようと思って居ました」と主翁がまた云う。

彼は一々胸に釘うたるゝ思であった。

八

お馨さん死去の電報に接して二週間目の二月十六日、午餐の席に郵便が来た。彼此と撰り分けて居た妻は、「あらッ、お馨さんが」と情けない声を立てた。

其はお馨さんが亡くなる二週間余り前のはがきであった。