Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
二つの幻影
今は午後の四時である。先程からぱっと射して色と云う色を栄えさして居た日は、雲の瞼の下に隠れて、眼に見る限りの物は沈欝な相をとった。松の下の大分黄ばんだ芝生に立って、墓地の銀杏を見る。さまで大きくもあらぬ径六寸程の比較的若木であるが、魚の背骨の一方を削った様に枝は皆北方へ出て、南へは唯一本しか出て居ない。南の枝にも梢にも、残る葉はなくて、黄葉は唯北方に密集して居る。其裸になった梢に、嘴の大きな痩鴉が一羽とまって居る。永く永くとまって居たが、尾羽で一つ梢をうって唖々と鳴きさまに飛び立った。黄いろい蝶の舞う様に銀杏の葉がはら/\と飄える。
廻沢の杉森のあなたを、葬式が通ると見えて、「南無阿弥陀ァ仏、南無阿弥陀ァ仏」単調な念仏が泣く様に響いて来る。
(大正元年 十一月十日)
二つの幻影
北風が寒く、冬らしい日。
然し東京附近で冬を云々するのは烏滸がましい。如何に寒いと云っても、大地が始終真白になって居るではなし、少し日あたりのよい風よけのある所では、寒中にも小松菜が青々して、崖の蔭では菫や蒲公英が二月に咲いたりするのを見るのは、珍らしくない。
北へ行かねば、冬の心地は分からぬ。