Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
水汲み
それを知らなかったのである。吾れから捨てぬ先きに、向うからさっさと片づけてもらうのは、魯智深の髯ではないが、些惜しい気もちがせぬでもなかった。兎に角彼は最早浪人では無い。無宿者でも無い。天下晴れて東京府北多摩郡千歳村字粕谷の忠良なる平民何某となったのである。
水汲み
玉川に遠いのが第一の失望で、井の水の悪いのが差当っての苦痛であった。
井は勝手口から唯六歩、ぼろ/\に腐った麦藁屋根が通路と井を覆うて居る。上窄りになった桶の井筒、鉄の車は少し欠けてよく綱がはずれ、釣瓶は一方しか無いので、釣瓶縄の一端を屋根の柱に結わえてある。汲み上げた水が恐ろしく泥臭いのも尤、錨を下ろして見たら、渇水の折からでもあろうが、水深が一尺とはなかった。
移転の翌日、信者仲間の人達が来て井浚えをやってくれた。鍋蓋、古手拭、茶碗のかけ、色々の物が揚がって来て、底は清潔になり、水量も多少は増したが、依然たる赤土水の濁り水で、如何に無頓着の彼でもがぶ/\飲む気になれなかった。近隣の水を当座は貰って使ったが、何れも似寄った赤土水である。墓向うの家の水を貰いに往った女中が、井を覗いたら芥だらけ虫だらけでございます、と顔を蹙めて帰って来た。