Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
きぬや
ある朝庭を漫歩きして居た彼は、
「吁、咲いた、咲いた」
と叫んだ。其は庭の片隅に、坊主になる程伐られた若木の塩竈桜であった。昨年次郎さんが出京入学して程なく、次郎さんの阿爺が持って来てくれたのである。其時は満開であった。惜しい事をしたものだ、此花ざかりを移し植えて、無事につくであろうか、枯れはしまいか、と其時は危ぶんだ。果して枯枝が大分出来たが、肝腎の命は取りとめて、剪り残されの枝にホンの十二三輪だが、美しい花をつけたのである。彼はあらためてつく/″\と其花を眺めた。晩桜と云っても、普賢の豊麗でなく、墨染欝金の奇を衒うでもなく、若々しく清々しい美しい一重の桜である。次郎さんの魂が花に咲いたら、取りも直さず此花が其れなのであろう。
清い、単純な、温かな其花を見つめて居ると、次郎さんのニコ/\した地蔵顔が花心から彼を覗いた様であった。
(明治四十一年)
きぬや
明治四十三年十二月二十六日。
書院前の野梅に三輪の花を見つけた。年内に梅花を見るは珍らしい。霜に葉を紫に染めなされた黄寒菊と共に、折って小さな銅瓶に插す。
例年隣家を頼んだ餅を今年は自家で舂くので、懇意な車屋夫妻が臼、杵、蒸籠、釜まで荷車に積んで来て、悉皆舂いてくれた。