Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
三年前建てた書院からは、東京の煙が望まれる。一方に山の雪を望み、一方に都の煙を眺むる儂の住居は、即ち都の味と田舎の趣とを両手に握らんとする儂の立場と慾望を示して居るとも云える。斯慾望が何処まで衝突なく遂げ得らるゝかは、疑問である。此両趣味の結婚は何ものを生み出したか、若くは生み出すか、其れも疑問である。唯儂一個人としては、六年の田舎住居の後、いさゝか獲たものは、土に対する執着の意味をやゝ解しはじめた事である。儂は他郷から此村に入って、唯六年を過ごしたに過ぎないが、それでも吾が樹木を植え、吾が種を蒔き、我が家を建て、吾が汗を滴らし、吾不浄を培い、而してたま/\死んだ吾家の犬、猫、鶏、の幾頭幾羽を葬った一町にも足らぬ土が、今は儂にとりて着物の如く、寧皮膚の如く、居れば安く、離るれば苦しく、之を失う場合を想像するに堪えぬ程愛着を生じて来た。己を以て人を推せば、先祖代々土の人たる農其人の土に対する感情も、其一端を覗うことが出来る。斯執着の意味を多少とも解し得る鍵を得たのは、田舎住居の御蔭である。
然しながら己が造った型に囚われ易いのが人の弱点である。執着は常に力であるが、執着は終に死である。