Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
簑笠の田植は骨でも、見るには画である。螢には赤い火が夏の夜にちら/\するのは、子供が鰌突きして居るのである。一条の小川が品川堀の下を横に潜って、彼の家の下の谷を其南側に添うて東へ大田圃の方へと流れて居る。最初は女竹の藪の中を流れ、それから稀に葭を交えた萱の茂る土堤の中を流れる。夏は青々として眼がさめる。葭切、水鶏の棲家になる。螢が此処からふらりと出て来て、田面に乱れ、墓地を飛んでは人魂を真似て、時々は彼が家の蚊帳の天井まで舞い込む。夏は翡翠の屏風に光琳の筆で描いた様に、青萱まじりに萱草の赭い花が咲く。萱、葭の穂が薄紫に出ると、秋は此小川の堤に立つ。それから日に/\秋風をこゝに見せて、其薄紫の穂が白く、青々とした其葉が黄ばみ、更に白らむ頃は、漬菜を洗う七ちゃんが舌鼓うつ程、小川の水は浅くなる。行く/\年闌けて武蔵野の冬深く、枯るゝものは枯れ、枯れたものは乾き、風なき日には光り、風ある日にはがさ/\と人が来るかの様に響く。其内ある日近所の辰さん兼さんが※々※々と音さして悉皆堤の上のを苅って、束にして、持って往って了う。あとは苅り残されの枯尾花や枯葭の二三本、野茨の紅い実まじりに淋しく残って居る。