Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
上塗をせぬ土蔵の腰部に幾個の孔があって、孔から一々縄が下って居る。其縄の一つが動く様なので、眼をとめて見ると、其縄は蛇だった。見て居る内にずうと引込んだが、またのろ/\と頭を出して、丁度他の縄の下って居ると同じ程にだらりと下がった。何をするのか、何の為に縄の真似をするのか。鏡花君の縄張に入る可き蛇の挙動と、彼は薄気味悪くなった。
勇将の下に弱卒なし。彼が蛇を恐れる如く、彼が郎党の犬のデカも獰猛な武者振をしながら頗る蛇を恐れる。蛇を見ると無闇に吠えるが、中々傍へは寄らぬ。主人が勇気を出して蛇を殺すと、デカは死骸の周囲をぐる/\廻って、一足寄ってはワンと吠え、二足寄っては遽てゝ飛びのいてワンと吠え、ワンと吠え、ワンと吠え、廻り廻って、中々傍へは寄らぬ。ある時、麦畑に三尺ばかりの山かゞしが居た。山かゞしは、やゝ精悍なやつである。主人が声援したので、デカは思切ってワンと噛みにかゝったら、口か舌かを螫されたと見え、一声悲鳴をあげて飛びのき、それから限なく口から白泡を吐いて、一時は如何なる事かと危ぶんだ。此様な記憶があるので、デカは蛇を恐るゝのであろう。多くの猫は蛇を捕る。