Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
不潔を扱うと、不潔が次第に不潔でなくなる。葛西の肥料屋では、肥桶にぐっと腕を突込み、べたりと糞のつくとつかぬで下肥の濃薄従って良否を験するそうだ。此辺でも、基肥を置く時は、下肥を堆肥に交ぜてぐちゃ/\したやつを盛った肥桶を頸からつるし、後ざまに畝を歩みつゝ、一足毎に片手に掴み出してはやり、掴み出してはやりする。或は更に稀薄にしたのを、剥椀で抄うてはざぶり/\水田にくれる。時々は眼鼻に糞汁がかゝる。
「あっ、糞が眼ン中へ入っちゃった」と若いのが云う。
「其れが本当の眼糞だァ」爺は平然たるものだ。
平然たる爺が、ある時三四歳の男の子を連れて遊びに来た。誰のかと云えば、お春のだと云う。お春さんは爺さんの娘分になって居る若い女だ。
「お春が拾って来たんでさァ」と爺さんがにや/\笑いながら曰うた。
「拾って来た? 何処で?」
野暮先生正に何処かで捨子を拾って来たのだと思うた。爺は唯にや/\笑って居た。其は私生児であった。お春さんの私生児であった。
お春さん自身が東京芸者の私生児であった。里子からずる/\に爺さんの娘分になり、近所に奉公に出て居る内に、丁度母の芸者が彼女を生んだ十六の年に、彼女も私生児を生んだ。