Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
(四)摘草
(五)彼岸入り
を活かして見る様であった。
(四)摘草
三月八日。
今日も雲雀が頻に鳴く。
午食前に、夫妻鶴子ピンを連れて田圃に摘草に出た。田の畔の猫柳が絹毛の被を脱いで黄ろい花になった。路傍の草木瓜の蕾が朱にふくれた。花は兎に角、吾儕の附近は自然の食物には極めて貧しい処である。芹少々、嫁菜少々、蒲公英少々、野蒜少々、蕗の薹が唯三つ四つ、穫物は此れっきりであった。
午後本を読んで居ると、空中に大きな物の唸り声が響く。縁から見上げると、夏に見る様な白銅色の巻雲を背にして、南の空に赤い大紙鳶が一つって居る。ブラ下げた長い長い二本の縄の脚を軟らかに空中に波うたして、紙鳶は心長閑に虚空の海に立泳ぎをして居る。ブーンと云うウナリが、武蔵野一ぱいに響き渡る。
春だ。
晩食に摘草の馳走。野蒜の酢味噌は可、ひたし物の嫁菜は苦かった。
(五)彼岸入り
三月十八日。彼岸の入り。
風はまだ冷たいが、雲雀の歌にも心なしか力がついて、富士も鉛色に淡く霞む。
庭には沈丁花の甘い香が日も夜も溢れる。梅は赤い萼になって、晩咲紅梅の蕾がふくれた。犬が母子で芝生にトチ狂う。猫が小犬の様に駈け廻る。
春だ。