Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
食われるもの
彼等は工兵の蟻である。同じ土に仕事する者でも、農は蚯蚓である。蚯蚓は蟻を恐れる。
有つ者にとっては、有たぬ者程恐ろしい者は無い。土方人足の村で恐れられるも尤である。然しながら何ものも有たぬ彼等も、まだ生命と云うものを有って居る。彼等は生命を惜む。此れが彼等の弱点である。有たずに強い彼等も、有てば弱くなる虞がある。世にも恐ろしい者は、其生命さえも惜まぬのみか、如何なる条件をもって往っても妥協の望がない人々である。彼等は何ものを有っても満足せぬ。彼等は全宇宙を吾有にしなければ満足せぬ。寧吾を全宇宙に与えなければ満足せぬ。其一切を獲ん為には、有てる一切を捨てゝ了う位は何でもない。耶蘇も仏陀も斯恐ろしい人達である。
(明治四十五年 七月十三日)
食われるもの
奥の座敷で日課を書いて居ると、縁に蹲って居た猫のトラがひらりと地に飛び下りた。またひらり縁に飛び上ったのを見ると、蜥蜴を啣えて居る。窃と下ろした。蜥蜴は死んだのか、気絶したのか、少しも動かぬ。トラはわんぐりと喰いはじめた。まだ生きて居ると見えて、蜥蜴の尾が右左に揺いた。トラは遽てず、眼を閉じ、頭を傾げて、悠々と味わい/\食って居る。