Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
何処かに鴉が鳴く。余はさながら不測の運命に魘われて悄然として農夫の顔其まゝに言わぬ哀愁に満ちた自然の面影にやるせなき哀感を誘われて、独望台にさま/″\の事を想うた。都会と田舎の此争は、如何に解決せらるゝであろう乎。京王は終に勝つであろうか。村は負けるであろうか。資本の吾儘が通るであろう乎。労力の嘆きが聴かるゝであろう乎。一年両度緑になり黄になり命を与うる斯二十万坪の活きた土は、終古死の国とならねばならぬのであろうか。今憂の重荷を負うて直下に働いて居る彼爺さん達、彼処此処に鳶色に焦れた欅の下樫の木蔭に平和を夢みて居る幾個の茅舎、其等は所謂文明の手に蠅の如く簑虫の宿の如く払いのけられねばならぬのであろうか。数で云うたら唯二十万坪の土地、喜憂を繋くる人と戸数と、都の場末の一町内にも足らぬが、大なる人情の眼は唯統計を見るであろうか。東京は帝都、寸土寸金、生が盛れば死は退かねばならぬ。寺も移らねばなるまい。墓地も移らずばなるまい。然しながら死にたる骨は、死にたる地に安んずべきではあるまい乎。寺と墓地とは縁もゆかりもない千歳村の此耕さるべき部分の外に行き得る場所はないのであろう乎。