Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
子犬の生れた騒ぎに、猫のミイやが居ないことを午過ぎまで気付かなかった。「おや、ミイは?」と細君が不安な顔をして見廻わした時は、午後の一時近かった。総がかりで家中探がす。居ない。屋敷中探がす。居ない。舌が痛くなる程呼んでも、答が無い。民やをやって、近所を遍ねく探がさしたが、何処にも居ず、誰も知らぬ、と云う。まだ遠出をする猫ではなし、何時居なくなったろうと評議する。細君が暫らく考えて「朝は居ましたよ、葱とりに往く時私に跟いて畑なぞ歩いて居ました」と云う。如何なったのだろう? 烏山の天狗犬に噛まれたのかも知れぬ。三毛は美しい小猫だったから、或は人に抱いて往かれたかも知れぬ。可愛い、剽軽な、怜悧な小猫だったに、行方不明とは残念な事をして了うた。ひょっとしたら、仲好くして居たピンに子犬が生れたから、ミイが嫉妬して身を隠したのではあるまいか、などあられもない事まで思う。
夕食の席で、民やが斯様な話をした。今日午後猫を捜して居ると、八幡下で鴫田の婆さんと辰さん家の婆さんと話して居た。先刻田圃向うの雑木山の中で、印半纏を着た廿歳許の男と、小ざっぱりした服装をした二十前後の女が居た。