Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
私は生返事して十数年を過ごしました。今年ある村の寄合の場で、私は斯く言いました。
「私共もいよ/\粕谷の土になる事にきめました。何分よろしく」
「世界で日本、日本で粕谷」に拍手喝采した諸君は、此時破顔一笑、会心のさざめきを以て酬うてくれました。
いよ/\私共も粕谷の土になるにきめました。東隣の墓地は狭いが、四千坪近い所有地は何処にやすらうも自由です。墓地をきめると云う事は、旅行しない意味では無論ありません。何処で死ぬか、私共は知りません。唯何処で死んでもいずれ粕谷の土です。
泊がきまると、行手を急ぐ要はありません。のろ/\歩きましょう。一歩は一歩の楽です。父は九十三、母は九十一、何卒私共もあやかりたい。先頃の大地震に、私はある人に言いました。「借金もちは、天道様が中々殺さぬよ」。私も夥しい借金もちです。五十年来幾度となく死地を脱して斯く生かされて居るのも、あの因業爺が「分厘までも」払わさずには置かぬ心底がまざ/\と読まれます。私も昔は借金とも思わず無暗に重ねた時代がありました。借金と気がついて急に悄気た時期もあります。わが借金は棚にあげ、他の少々の貸金をはたって歩いた時もあります。