Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
S女に相談すると、翌日の夕、彼女の長兄のI君が一担の食糧を運んでくれました。I君は「次郎桜」の兄者で、十七年前私共が千歳村へ引越す時、荷車引いて東京まで加勢に来てくれた村の耶蘇信者四人の其一人、本文に「角田勘五郎の息子」とあるのがそれです。其頃は十六七のにこにこした可愛い息子でした。それが適齢になって兵役に出で、満洲守備に行き、帰って結婚してもう四人の子女の父、郷党のちゃきちゃきです。I君が担うて来てくれたは、白米一斗、それは自家の飯米を分けてくれたのでした。それから水瓜、甘藍、球葱、球葱は此辺ではよく出来ませんが、青物市場であまり廉かったからI君が買って来たその裾分けという事でした。玄米でも饂飩粉でもよかった、「働く人の食料を分けてもらうのは気の毒」と私が申すと、「働くから上げられるのです」とI君が昂然と応えました。これは確に一本参りました。全くです。働くから自ら養い他を養う事が出来るのです。私共は唯二つ残って居た懐中汁粉をI君に馳走して、色々話しました。千歳村移転当時の話からI君は其時私が諸君に向い、「東京も人間が多過ぎる、あまり頭に血が寄ると日本も脳充血になる、だから私は都を出でて田舎に移る」