Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
沼には鯉、鮒、鰌ほか産しない。今年銅像を建てたと云う大山島、東郷島がある。昔此辺の領主であったと云う武家の古い墓が幾基も立って居る島もあった。夏は好い遊び場であろう。今は寂しいことである。それでも、学生の漕いで行く小さなボートの影や、若い夫婦の遊山舟も一つ二つ見えた。舟を唯有る岸に寄せて、殊に美しい山葡萄の紅葉を摘んで宿に帰った。
午後は画はがきなど書いて、館の表門から陸路停車場に投函に往った。軟らかな砂地に下駄を踏み込んで、葦やさま/″\の水草の茂った入江の仮橋を渡って行く。やゝ色づいた樺、楢、イタヤ、などの梢から尖った頭の赭い駒が岳が時々顔を出す。寂しい景色である。北海道の気が総身にしみて感ぜられる。
夕方館の庭から沼に突き出た岬ので、細君が石に腰かけて記念に駒が岳の写生をはじめた。余は鶴子と手帖の上を見たり、附近の林で草花を折ったり。秋の入り日の瞬く間に落ちて、山影水光見るが中に変って行く。夕日の名残をとゞめて赭く輝やいた駒が岳の第一峰が灰がかった色に褪めると、つい前の小島も紫から紺青に変って、大沼の日は暮れて了うた。細君はまだスケッチの筆を動かして居る。