Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
と云う聖書の恐ろしい宣告が彼の頭に閃いた。彼は反抗した。然し其反抗の無益なるを知った。雷はます/\劇しく鳴った。最早今度は落ちた、と彼は毎々観念した。而して彼の心は却て落ついた。彼の心は一種自己に対し、妻に対し、一切の生類に対する憐愍に満された。彼の眼鏡は雨の故ならずして曇った。斯くして夕暮の街道二里を、彼は雷と共に歩いた。
調布の町に入る頃は、雷は彼の頭上を過ぎて、東京の方に鳴った。雨も小降りになり、やがて止んだ。暮れたと思うた日は、生白い夕明になった。調布の町では、道の真中に五六人立って何かガヤ/\云いながら地を見て居る。雷が落ちたあとであろう、煙の様なものがまだ地から立って居る。戸口に立ったかみさんが、向うのかみさんを呼びかけ、
「洗濯物取りに出りゃあの雷だね、わたしゃ薪小屋に逃げ込んだきり、出よう/\と思ったけンど、如何しても出られなかったゞよ」
と云って居る。
雷雨が過ぎて、最早大丈夫と思うと、彼は急に劇しい疲労を覚えた。濡れた洋服の冷たさと重たさが身にこたえる。足が痛む。腹はすく。彼は重たい/\足を曳きずって、一足ずつ歩いた。滝坂近くなる頃は、永い/\夏の日もとっぶり暮れて了うた。