Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
此雑木山の曲り角に、一本の檜があって、八幡杉の下からよく見える。
村居六年の間、彼は色々の場合に此杉の下に立って色々の人を送った。彼田圃を渡り、彼雑木山の一本檜から横に折れて影の消ゆるまで目送した人も少くはなかった。中には生別即死別となった人も一二に止まらない。生きては居ても、再び逢うや否疑問の人も少くない。此杉は彼にとりて見送の杉、さては別れの杉である。就中彼はある風雪の日こゝで生別の死別をした若者を忘るゝことが出来ぬ。
其は小説寄生木の原著者篠原良平の小笠原善平である。明治四十一年の三月十日は、奉天決勝の三週年。彼小笠原善平が恩人乃木将軍の部下として奉天戦に負傷したのは、三年前の前々日であった。三月十日は朝からちら/\雪が降って、寒い寂しい日であった。突然彼小笠原は来訪した。一年前、此家の主人は彼小笠原に剣を抛つ可く熱心勧告したが、一年後の今日、彼は陸軍部内の依怙情実に愛想をつかし疳癪を起して休職願を出し、北海道から出て来たので、今後は外国語学校にでも入って露語をやろうと云って居た。陸軍を去る為に恩人の不興を買い、恋人との間も絶望の姿となって居ると云うことであった。