Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
」
なるほど、そんな事もあるのか、と僕は思わず長大息を発した。
「ことしのお正月なんか、進ちゃんの来るのを、とっても楽しみにして待っていたのよ。鈴岡も、進ちゃんを、しんから可愛がって、坊や、坊やって言って、いつも噂をしているのに。」
「腹が痛かったんだ、腹が。」しどろもどろになった。あんな事でも、姉さんの身にとっては、ずいぶん手痛い打撃なんだろうな、とはじめて気附いた。
「それぁ、行かないのが当り前さ。」叔母さんは、こんどは僕の味方をした。滅茶滅茶だ。「どだい、向うから来やしないんだものね。麹町にも、とんとごぶさただそうだし、私のところへなんか、年始状だって寄こしゃしない。それぁもう、私なんかは、――」また始めたい様子である。
「いけませんでした。」姉さんは、落ちついて言った。「鈴岡も、書生流というのか、なんというのか、麹町や目黒にだけでなく、ご自分の親戚のおかた達にも、まるでもう、ごぶさただらけなんです。私が何か言うと、親戚は後廻しだ、と言って、それっきりなんですもの。」
「それでいいじゃないか。」僕は、鈴岡さんをちょっと好きになった。「まったく、肉親の者にまで、他人行儀のめんどうくさい挨拶をしなければならんとなると、男は仕事も何も出来やしない。