Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
ただ、今宵は、自分の今まではおっていた羽織だけを脱いで、それをどうするかと見ると、寝息をたよりに、お雪ちゃんの体の上へ、ふわりとのせて置いて、それで自分は煙のようにこの船の中を外へ出てしまいました。
その足どり、ものごし、手に入ったようなもので、人間そのものがここを脱け出したとは思われません。煙が一むら、すうっと、窓を抜けたようなあんばいに、いつしか、竜之助は屋形船の外の人となっていました。
外へ出ると、天地は、飛騨の高山の宮川の川原の中です。
川原の中を、すっくすっくと歩み行く竜之助、久しぶりで壺中の天地を出て、今宵はじめて天と地のやや広きところへぬけ出したから、この辺から雲を呼んで昇天するというつもりでもないでしょうが、ほんとうに久しいこと、自由な天地を歩きませんでした。
昔は、こうして、夜な夜な、外を歩いて、血を吸わないと生きていられない気持でしたが、白骨の湯壺が、しばらくの間、この毒竜を封じ込んでいたものでしょう。それが飛騨の高山へ来て、今晩という今晩、その封が切れたようです。
黒い頭巾と、白い着物と、二本の刀が閂にさされたのが、すっくすっくと川原を歩んで行き、そうして水溜りとか、蛇籠とかいうようなものの障りへ来ると、ちょっと足を踏み止めて思案の体に見えるが、まもなく、五体が魚鱗のように閃いた