Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
五
。では弁信さん、わたしはここに失礼さしていただいたままで、喋れるだけ喋らしてもらいますからね。お江戸の辻芸人には独り角力というのがありましたが、わっしゃこれから一人で二人前のかけあい話をやりますよ。時に、ねえ、弁信さん」
「…………」
ここに至って、もはや弁信の返事はありません。つまり相手にならないのです。ピグミーを相手にせず、さりとて、これに退却を命ずるのでもなく、彼は彼の為さんとするところに任せ、我は我の為さんとする眠りに深く落ちて行きました。
五
それから暫くの間、この座敷がひっそりしてしまいました。
なるほど、森閑としたこの源氏香の間には、すやすやとした弁信の軽い寝息のほかに何物もありません。やくざが居催促の形で、胡坐を組んで反り返っていたピグミーの姿はどこにも無い。さては、口ほどにもないピグミーの奴、弁信に相手にされないものだから、さすがにテレきって、ひとりでは持ちきれず、目に立たぬようにこっそりと、この場を退却してしまったものらしい。さりとは、いよいよ以て器量の悪いピグミー。
さりながら、ピグミーの長所はしつっこいというところにある。ピグミーに向って勇断と果決と、威厳と雅量を望むことは注文が無理だけれども、小細工と、しつっこいことと、こうるさいことにかけては、けだしピグミーの独擅であります。