Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

二十二

のを感じてみると、七兵衛はここでもたまらなくなって、ほとんど声をあげて泣こうとして僅かにそれを噛み殺してしまって、我知らず馳込んだのは、駒井の常に研究室とするところの部屋であります。

さいぜんまでは守護不入になっていたこの研究室も、明日立つことになってみれば、すっかり開放されている。その中に走り込んだ七兵衛は、いつも駒井が研究に疲れた眼を放つところの窓に来て、そこにしがみつきました。

何だか知れないが、涙だ、涙だ。こんなめでたい鹿島立ちの席に、みんなが無邪気に興が乗ればのるほど悲しくなって、どうしても意地が張りきれないのは、自分ながらどうしたものだ。

ああ、たまらない。

二十二

だが、七兵衛は泣いているわけではないのです。ただ、無限に悲しい思いがするだけで、それが、何の理由に出でるか、よくわからないのみですから、すべてに於て取乱すというようなことはありません。

「ああ、忘れられた奴がまだ一つあるわい」

今、七兵衛はムクの物の気を感じたのです。ムクはないたわけでも、吠えたのでもないけれども、この窓の下へ歩み寄って唸っているのはムクだ――ということを七兵衛が感得しました。