Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
大菩薩峠
一
一
「おや、まあ、お前は弁信さんじゃありませんか……」
と、草鞋を取る前に、まず呆気にとられたのは久助です。
「はい、弁信でございますよ。久助さん、お変りもありませんでしたか、お雪ちゃんはどうでございます」
「お雪ちゃんも、無事でいるにはいますがね……」
「なんにしても結構と申さねばなりません、本来ならばあの子は、この白骨へ骨を埋める人でございましたが、それでも御方便に、助かるだけは助かりましたようでございます。お雪ちゃんは、当然ここで死なねばならぬ運命を遁れて、とにもかくにも、無事にこの白骨を立ち出でたのは果報でございました。誰も知らないお雪ちゃん自身の善根が、お雪ちゃんの命を救ったのはよろしいが、かわいそうに、あの子の身代りに死んだ人がありましたね」
「何を言うのです、弁信さん」
炉辺閑話の一座の中では、最も臆病な柳水宗匠が、わななきながら唇を震わせますと、
「はい」
弁信は、おとなしく向き直って、
「あの子が、この白骨へ旅立って参りまするその前から、わたくしはあの子の運命を案じておりましたが、その道中か、或いはこの白骨へ着いた後か、いずれの時かに於て、あの子の運命が窮まるということを、わたくしのこの頭が、感得いたしました。