Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
四十八
させました。
「大変に山が鳴り出しましたね、しかしまあ、御安心なさいよ」
こちらが同情したのがかえって先方から慰めの言葉を送られる。斯様な際には、ただ単に平然たる人の面色だけを見てさえ大きな力になるものですが、この神主さんは平然たるのみならず、またいつものかがやきをちっとも失ってはいないのみならず、この天災にも充分の見とおしを置いて、あえて騒ぐに足らずといったような態度は、つまり、焼ヶ岳を鳴らしたのも、自分がちょっと火を焚きつけて来たことだから、みんな騒ぎなさんな、もう少しすれば音がしなくなる――ということをでも、わざわざ断わりに来たもののようでしたから、一同がそれだけに多大の心強さを与えられたもののようです。
四十八
とにかく炉辺に集まった一同は、鐙小屋の神主の来臨を、暴風の際の船の中に船長を見るような気持で注視しました。それと同時に、暴風の際に船長が自若たることが、すべての乗組人をいわゆる親船に乗った気持の安心に導くことと同様に、この神主の自若たる言語容貌が、すべてのイカモノを欣快せしめ、
「大丈夫ですか神主様、心配はありませんかね」
神主は笠を取ったままで、蓑は脱がず、草鞋ばきのままで土間に突立っていて、炉辺へは上って来ないのです。