Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
四十六
四十六
それは何事かといえば、この飛騨の平湯のつい後ろにそそり立っている焼ヶ岳、硫黄岳が鳴動をはじめたのです。
焼ヶ岳は、信濃と飛騨に跨って、穂高と乗鞍の間に屹立する約二千五百メートル、日本北アルプスの唯一の活火山ですから、鳴動することはそんなに不思議ではありません。常に煙を炎々と吐いているくらいの山だから、時に吼え出すこともあたりまえなのであります。
古来鳴動の歴史もずいぶん古いものでありましたが、土地が高峻にして人目に触るる機会が少なかったために、その鳴動も、浅間や磐梯のように、人を聳動はせしめませんでした。ところが、この際、この歓楽の日うちつづくうちの或る夕方――突然鳴り出したことも、気にしたものとしなかったものと、気にするにもしないにも、それが耳に入らなかった者の方が多かったのですが、その夜寝て翌朝の暁、俄然とした大鳴動が、ほとんど平湯にいた残らずの人の夢を打ち破ってしまいました。
この鳴動だけは、誰も聞かなかったというわけにはゆかなかったのは、山が大鳴動をしたのみならず、寝ている床の下が大震動をしたのですから、一時に夢を破られた連中がみな飛び出しました。