Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
三十六
第一、登場役者がそこにいませんもの……お蘭の方も、少々こちらの薬が効き過ぎたことを多少気の毒の感に打たれた時……すーっと自分の身が引き寄せられ、夫婦竹の中に吸いこまれたことを感じ、
「あれ――そんなお手荒く……」
と言ってみたものですが、その声がフッとかき消されてしまって、その身は獅豹に捕えられた斑馬のように、ずるずると芝生の上を引きずられて行くのを見ます。身体が引きずられて行くから、帯も、下締のようなものも、一切がずるずると引きずられて、そうして植込の茂みの方へ消えて行ってしまうのです。
それっきりで、何とも叫びを立てないから、静かなことは一層静かになってしまいました。
三十六
これより先、代官屋敷からは程遠からぬ三本松の辻に辻待ちをしていた二梃の駕籠、都合四人の雲助が、客を待ちあぐみながら、こんな話をしていました。
「今日、三福寺の上野青ヶ原へ農兵の調練を見に行ったかよ。行かなかった、行かなくって仕合せだったな」
「それはまたどうして」
「どうしてったって、調練は調練でいいが、見たくもねえ景物を見せられちゃって、胸が悪くてたまらねえ」
「手前らしくもねえ、鉄砲の音で腰でも抜かしたか」