Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
それをまだ地中にも葬らず、火中にも置かず、川原の真中へ抛り出してあるのだ。生きていないというまでのことで、まだ煮ても、焼いてもないのですから、よろしかったらこのまま召上ってください、と言わぬばかり。
だが、死肉は食えまい。いかに飢えたりとも、天が特に爪牙を授けて、生けるものの血肉を思いのままに裂けよと申し含めてある動物に向って、棺肉の冷えたのを食えよというのは、重大なる侮辱である。
カタカタと軽くゆるがしてみただけで、この動物は、ついにその中の餌食に向っては、指をさしてみることをも侮辱とするもののようです。だが、カタカタと軽くゆすってみた瞬間に、釘目を合わせておかなかったこの棺と称する人間の死肉の貯蔵所の蓋が、二三寸あいてしまいました。
二三寸あいたところから、意地悪く、その髪の毛のほつれと、冷え固まった面の白色が、ハミ出して見えたようです。朧ろのような夜光で、見ようによっては、棺の内で貯蔵された死面が、笑いかけたようです。
ところが、せっかく、死肉が笑い出しても、こちらの怪物は、それに調子を合わせるだけの愛嬌を持ち合わせておりませんでした。それのみならず、その笑いかけたのを、浅ましがっておっかぶせてやるだけの慈悲心も、持ち合わせていないようでした。