Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
そんなら黒幕を外してしまいさえすれば、いいじゃないか。
六
黒幕を外してしまえ。
それは田山先生がいいだろう、田山先生は強いから、きっとその幕を外せるだろう。黒幕というのは一体、どこにどう張ってあるか知れないが、さがせばわかるに違いない。
それはそれとして、今眼前、焼き殺されようとするマドロス君がかわいそうだ――
茂太郎は、今になって、全くマドロスに同情してしまいました。立ちのぼる紅の炎に、無限の恨みを寄せています。
その時に、左の一方は海ですから、絶えずザブリザブリと、寄せては返す仇波が、月の色を砕いて、おきまりの金波銀波を漂わせつつ、極めて長閑に打たせていたのですが、陸なる紅の炎を見ることに、心の全部を吸い取られた茂太郎は、今し、全く閑却していたその海の方を、あわただしく向き直りました。
それは彼の俊敏な五官の一つに響いて来たものの音、やや遠く近く、櫓拍子の音が、この海から聞え出したからです。
そこで、くるりと海の方へと向き直った茂太郎は、直ちに、程遠くもあらぬところに、一艘の小舟が櫓を押して通り過ぐるのを認めました。どうも、今時、この海を、岸づたいとは言いながら、あの小舟で乗りきることに、少々の意外さを感じながら、きっと闇を通して見たのは、その舟の中です。