Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
「はい、うつし本ではございますが、近ごろ評判の新刊物が出来ましたから、ごらんに入れたいと存じまして持って参りました」
「それは御苦労、ここへ出してごらん」
「はいはい」
若い番頭は、一層の恐縮をもって風呂敷を解いて、その中から薄葉綴りの三冊を取り出して、
「はい、ただいま評判の種彦物でございます、絵の方も豊国でございまして、なかなか出来がよろしうございます、写し本ではございますが、原本の情味がすっかり出ているものでございますから」
と言って、恐る恐るお蘭の方の前へ捧げたのは、赤い色表紙の美しい製本になっていましたが、中身はこの二三日来、お雪ちゃんが丹精をこらして書き上げた「妙々車」であります。
「まあ、ちょっとお見せ」
女中の手からお蘭はその冊子を取り上げて、中身をめくり、
「これは面白そうだね、雪国の話、大きな熊が出ているわ――誰が写したのか女の手のようね、なかなかよく書いてある、絵もよくうつしてあるわねえ」
それがお目に止まったのは、得たり賢しというみえで、番頭が、
「うつしたのは、いいところのお嬢様なんですが、特にお頼みして書いていただきました、その初おろしをこちら様に読んでいただきたいものでございますから、まだ綴目折らずでございます」