Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
「わたしも、ことによると近いうち、九州へ行かねばならぬようになるかも知れませぬ」
「たいそう遠いところへ、それはまたどうしてでございます」
「落ち行く先は、九州相良……というわけではないが、肥後の熊本まで、退引ならずお供を仰せつかりそうだ」
「それは、大変なことでございますね」
と言っているうちに玄関へ来ると、お角が女中たちに先立って、この美少年のために履物を揃えてやりました。
「これは恐縮」
と言って草履を穿く途端に、ちょっとよろけて、美少年の手がお角の肩へさわりました。お角はそれを仰山に抑えて、
「おお、お危ない、お年がお年ですから、お足元に御用心なさいまし」
「いや、どうも済みません、では、明日はお待ち申していますよ」
この途端に、すっと入違いに無言で、大風に入って来た人がありました。
それは、土器野から廻り道したものか、この時刻になって立戻って来たお銀様でありましたから、機嫌よく美少年を送り出した途端に、この気むずかしやの苦手を迎えねばならぬお角さんは、ここでちょっと気合を外されてしまった形で、
「これはお嬢様、お帰りあそばせ」
今まで美少年を相手にしていた砕けた気分がすっかり固くなり、言葉の折り目もぎすぎすしているようで、我ながらばつが悪いと感ぜずにはおられません。