Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
四十九
「ああそうか」
「なあんだ」
それで安心したような、気を抜かれたようなあんばいで、一座ががっかりしました。
四十九
嘉七の報告通り、もうずっと以前、ちょうど鐙小屋の神主が抜からぬ面で、この炉辺を訪れた時分に、弁信はいつ起きたのか、ぶらりとやって来て、大一番の湯槽の中を、我れ一人の天下とばかり身をぶちこんでおりました。
適度の湯加減になっている槽を選んで、それに身を浸けた弁信は、仰ぐともなく明り取りの窓のあたりを仰ぎ、ゆるゆる首筋を洗いながら、物を考えているかと思えば、念仏か念経かの声がする。
山の鳴動から、この湯壺の底までが地響きをすると言って、一座のイカモノさえ気持悪がって逃げたこの湯槽の中に、弁信は一向そんなことにお感じがないようです。しかし、弁信としては目こそ見えね、耳と勘とは超人的に働くのですから、醒めて起き出でた以上は、この異常な天変地異を感得していないはずはないのです。そうだとすれば普通の五官を持っている人と同様に、多少の恐怖をもって湯に向わねばならないはずなのに、そのことがありません。見えない目を向けた窓のあたりから、昼を暗くする雲煙が濛々と立ちのぼり、灰が降っていることをも感得しているはずながら、それも別段にいぶせきこととも感じてはいないようです。