Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
よく地獄の底に血の池というのがあるということを聞かされていた、こいつだな。
漫々たる血の池は、静かなものです。小皺ほどの波も立たず、打見たところでは真黒ですが、掌を入れてみると血だということがわかる、その血がベトベトとして生温かいものであることを感得する。
この深紅色の面を見渡していると、その湖一面に、ふわりと白いものが浮き出して来た。それは海月のような形をしているが、あんな透明なつめたいものでなく、搗きたてのお供餅のような濃厚なのが二つずつ重なったままで、ふわりふわりと次から次へ幾つともなく漂い来ります。
「でんぶ」
「でんぶ」
「でんぶ」
「でんぶ」
山の峡や、湖面に打浸された山脚の山から、海嘯のように音が起って来ました。この音につれて、前のベトベトした搗きたてのお供餅のようなのが、一重ねずつになって無数に連絡し、湖面のいずれからともなく漂泊として漂い来るのです。手近いのに杖をさしてみると、それが意外にも人間の臀部であることを知りました。しかも色の白い、肉の肥えた女の体の一部分だけが、無数にこうして漂い来るのであることを知ると、竜之助は嘲られたように、自分を嘲り返すことを忘れませんでした。