Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
「おや?」
白い、長い、箱のようなもの、遠火の光にあおられてありありとそれを見出したのは、やっぱり長い箱に相違ありません。
長持にしては白過ぎると思いました。
でも、それが何のために、こんなところに存在するかを想像するのは難事ではない。大事なものを持ち出して、ワザとこんな遠くへまで置きっぱなしにして行ったのは、もうげんじたわけではない。火事に顛倒して、我を忘れた狼狽の沙汰ではない。荷物を持ち出す時の目測では、もうこの辺まで持ち出せば大丈夫、と安んじていたものが、いつしか、火勢に先んぜられて混乱の渦に没してしまうことが多い。そんな途方もないところまで運ばなくてもと、物笑いになるほどの心配がかえって賢明に、安全を贏ち得るということはよく経験するところです――お雪ちゃんは歩むともなく、その置きっぱなしにされた白い、長い箱の傍に寄って見ると、果して長持ではない。
「おや――」
前のは単なる驚異でしたけれども、今度のは、恐怖を伴う叫びでした。
何です、これは、縁起の悪い、棺ではありませんか、寝棺ではありませんか。おおいやだ、寝棺が捨てられてある。
お雪ちゃんはそれを見まいとして走りました。