Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
竜之助は、お雪ちゃんを可愛ゆいと思わないことはない。可愛ゆい子だと、身に沁みる時に、また一方に極めて冷たいものがあって、こいつもまた、今まで、経来ったあらゆる女と同じ運命の目を見せてやる時が来るのかな――とあざ笑うこともある。
いつのまにか、自分が愛すれば愛するほど、自分が愛せられれば愛せられるほど、そのものの運命のほどを、じっと最後まで見詰めてやりたくなる癖がある。
生かすこと、殺すことのほかには、竜之助の天地は無いのだ。
たとえば、現在はどうあろうとも、運命がこの二つに過ぎないことは、見え過ぎるほど見えている。愛着がしばしの戯れと思われて、彼は何人の捧ぐる好意にも、感謝というものを持つことができない。
それでも、お雪ちゃんその人には、感謝はできないながら、悪意を持つことまではできないで、そうしておのずからその残虐なる遊戯性が、この子の前では、萌して来ないことを不思議と言えるでしょう。
いかなる女をも、最後は、必ず自分が手にかけて殺してしまう――こういう自覚せざるの自信に充ちている竜之助も、まだお雪ちゃんを殺そうとはしていないらしい。結局はそこへ行かねばならないことを怖れているのは、弁信法師ひとりで、お雪ちゃん自身も、一向それに気のついている様子はない。