Japanische Klassiker mit Furigana
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しぶえちゅうさい
渋江抽斎
Lesen Sie 渋江抽斎 (しぶえちゅうさい) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 166.525 Zeichen · 334 Bildschirme
その七十
なぜというに、抽斎が次男優善をして矢島氏の女壻たらしむるのは大いなる犠牲であったからである。玄碩の遺した女鉄は重い痘瘡を患えて、瘢痕満面、人の見るを厭う醜貌であった。
抽斎は中丸の言に動されて、美貌の子優善を鉄に与えた。五百は情として忍びがたくはあったが、事が夫の義気に出でているので、強いて争うことも出来なかった。
この事のあった年、五百は二月四日に七歳の棠を失い、十五日に三歳の癸巳を失っていた。当時五歳の陸は、小柳町の大工の棟梁新八が許に里に遣られていたので、それを喚び帰そうと思っていると、そこへ鉄が来て抱かれて寝ることになり、陸は翌年まで里親の許に置かれた。
棠は美しい子で、抽斎の女の中では純と棠との容姿が最も人に褒められていた。五百の兄栄次郎は棠の踊を看る度に、「食い附きたいような子だ」といった。五百も余り棠の美しさを云々するので、陸は「お母あ様の姉えさんを褒めるのを聞いていると、わたしなんぞはお化のような顔をしているとしか思われない」といい、また棠の死んだ時、「大方お母あ様はわたしを代に死なせたかったのだろう」とさえいった。
その七十
女棠が死んでから半年の間、五百は少しく精神の均衡を失して、夕暮になると、窓を開けて庭の闇を凝視していることがしばしばあった。