Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
主水は不思議そうに訊くのであった。
「富士のお山のご神体木花咲耶姫にお縋りして、その灼然のお力で少しでも躰のよくなりますようにと、お百度を踏んでおりますので。……そうして両手に灯火を捧げ、先頭に立って歩いておりました白衣白髪の老人が神の使徒でございます。そうしてそれこそ妾の父直江蔵人でございます」
ここに俗に陶器師と呼ばれた奇妙な賊が住んでいた。今日のいわゆる胎内潜り――その辺に巣食っていたのであって、名詮自性表向きは陶器を焼いていた。年は三十七八歳、蒼白い顔色、調った目鼻。一見素晴らしい美男子であったが、残忍の点に至っては比べるものがなかったそうである。
今日も陶器師は竈の前の筵の上に坐っていた。久しぶりでお山も晴れ、熱い夏の陽が広い裾野を黄金の色に輝かせている。
陶器師は大きな欠伸をした。それから鼻唄をうたい出した。鼻唄と云っても漢詩である。
春去夏来新樹辺、緑陰深処此留連、尋常性癖耽二閑談一、不レ愛二黄鶯一聞二杜鵑一
その時一人の旅人が――武者修行風の若い武士が、麓の方からやって来た。「竈師許せ」と行きずりの礼、ちょっと挨拶をして通り過ぎようとした。