Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
おぼろ夜
寿命も短くて、本当に露の間である。然も金粉を浮べた花蕊の黄に映発して惜気もなく咲き出でた花の透き徹る様な鮮やかな純碧色は、何ものも比ぶべきものがないかと思うまでに美しい。つゆ草を花と思うは誤りである。花では無い、あれは色に出た露の精である。姿脆く命短く色美しい其面影は、人の地に見る刹那の天の消息でなければならぬ。里のはずれ、耳無地蔵の足下などに、さま/″\の他の無名草醜草まじり朝露を浴びて眼がさむる様に咲いたつゆ草の花を見れば、竜胆を讃めた詩人の言を此にも仮りて、青空の気滴り落ちて露となり露色に出てこゝに青空を地に甦らせるつゆ草よ、地に咲く天の花よと讃えずには居られぬ。「ガリラヤ人よ、何ぞ天を仰いで立つや。」吾等は兎角青空ばかり眺めて、足もとに咲くつゆ草をつい知らぬ間に蹂みにじる。
碧色の草花として、つゆ草は粋である。
おぼろ夜
早夕飯のあと、晩涼に草とりして居た彼は、日は暮れる、ブヨは出る、手足を洗うて上ろうかとぬれ縁に腰かけた。其時門口から白いものがすうと入って来た。彼はじいと近づくものを見て居たが、
「あゝM君ですか」
と声をかけた。
其は浴衣の着流しで駒下駄を穿いたM君であった。