Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
総郷上り正月にも、畑に田にぽつ/\働く影を見うける。
八月は小学校も休業だ。八月七日は村の七夕、五色の短冊さげた笹を立つる家もある。やがて于蘭盆会。苧殻のかわりに麦からで手軽に迎火を焚いて、それでも盆だけに墓地も家内も可なり賑合い、緋の袈裟をかけた坊さんや、仕着せの浴衣単衣で藪入に行く奉公男女の影や、断続して来る物貰いや、盆らしい気もちを見せて通る。然し斯貧しい小さな野の村では、昔から盆踊りと云うものを知らぬ。一年中で一番好い水々しい大きな月が上っても、其れは断片的に若者の歌を嗾るばかりである。まる/\とした月を象どる環を作って、大勢の若い男女が、白い地を践み、黒い影を落して、歌いつ踊りつ夜を深して、傾く月に一人減り二人寝に行き、到頭「四五人に月落ちかゝる踊かな」の趣は、此辺の村では見ることが出来ぬ。
夏蚕を飼う家はないが、秋蚕を飼う家は沢山ある。秋蚕を飼えば、八月はまだ忙しい月だ。然し秋蚕のまだ忙しくならぬ隙を狙って、富士詣、大山詣、江の島鎌倉の見物をして来る者も少くない。大山へは、夜立ちして十三里日着きする。五円持て夜徹し歩るき、眠たくなれば堂宮に寝て、唯一人富士に上って来る元気な若者もある。