Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
父は津田仙さんの農業三事や農業雑誌の読者で、出京の節は学農社からユーカリ、アカシヤ、カタルパ、神樹などの苗を仕入れて帰り、其他種々の水瓜、甘蔗など標本的に試作した。好事となると実行せずに居れぬ性分で、ある時菓樹は幹に疵つけ徒長を防ぐと結果に効があると云う事を何かの雑誌で読んで、屋敷中の梨の若木の膚を一本残らず小刀でメチャ/\に縦疵をつけて歩いたこともあった。子の彼は父にも兄にも肖ぬなまけ者で、実学実業が大の嫌いで、父が丹精して置いた畑を荒らして廻り、甘蔗と間違えて西洋箒黍を噛んで吐き出したり、未熟の水瓜を窃と拳固で打破って川に投げ込んで素知らぬ顔して居たり、悪戯ばかりして居た。十六七の際には、学業不勉強の罰とあって一切書籍を取上げられ、爾後養蚕専門たるべしとの宣告の下に、近所の養蚕家に入門せしめられた。其家には十四になる娘があったので、当座は真面目に養蚕稽古もしたが、一年足らずで嫌になってズル/\にやめて了うた。但右の養蚕家入門中、桑を切るとて大きな桑切庖丁を左の掌の拇指の根にざっくり切り込んだ其疵痕は、彼が養蚕家としての試みの記念として今も三日月形に残って居る。