Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme

Aozora Bunko

医師が手を尽した甲斐もなかった。次郎さんは終に死んだ。屍を踏み越えて進む乱軍の世の中である。学校は丁度試験中で、彼の父が急報に接して駈けつけた時、死骸の側には誰も居なかった。次郎さんは十六であった。

やがて納棺して、葬式が始まった。調子はずれの讃美歌があって、牧師の祈祷説教があった。牧羊者が羊の群を導いて川を渡るに、先ず小羊を抱いて渡ると親羊が跟いて渡ると云う例をひいて、次郎少年の死は神が其父母生存者を導かん為の死である、と牧師は云うた。

日が短い頃で、葬式が家を出たのは日のくれ/″\であった。青山街道に出て、鼻欠地蔵の道しるべから畑中を一丁ばかり入り込んで、薄暗い墓地に入った。大きな松が枝を広げて居る下に、次郎さんの祖母さんや伯母さんの墓がある。其の祖母さんの墓と向き合いに、次郎さんの棺は埋められた。

「祖母さんと話してる様だァね」

と墓掘の人が云う。

「祖母さんが可愛がって居たからナ」

と次郎さんの阿爺が云う。

自身子が無くて他人の子ばかり殺して居る夫妻は、荒んだ心になって、黙って夜道を帰った。

*

一月あまり過ぎた。

梅から桜、八重桜と、園内の春は次第に深くなった。