Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
秋十月の末、ある日丸髷に結った血色の好い若いおかみさんが尋ねて来た。とめやであった。名も絹とあらためて、立派なおかみさんになって居た。夫妻共稼ぎで中々忙しいと云った。其れから東京では正直な人を得難いことをかこって、誰か好い子僧はあるまいかなぞ折から居合わした懇意の大工に聞いて居た。彼女の話の中に一つ面白い事があった。ある時両国橋の上で彼女は四十あまりの如何にも汚ない風をした立ン坊に会うた。つく/″\其顔を見て居た彼女は、立ン坊に向い、好い仕事があるかと聞いた。立ン坊は無いと答えた。橋の上に立って居るよりわたしの家に来て商売の手伝をしないかと云うた。立ン坊も彼女の顔を見て居たが、手伝しましょうと云うた。とめやのきぬやは早速立ン坊を連れて良人に引合わせ、翌日から車を挽かせて行商に出したが、立ン坊君正直に働いて双方喜んで居る云々。此話は非常に旧主人夫婦を悦ばした。あの温順しい女にも、中々濶達な所がある、所謂近江商人の血が流れて居る、とあとで彼等は語り合った。
彼女は其時已に六月の身重であった。今年の春男子を挙げたと云うたよりがあった。今日の其訃は実に突然である。