Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
牛の牟々程農村を長閑にするものはありません。道路も追々よくなります。村役場も改築移転し、烏山にも小学が出来、もとの塚戸小学校も新築されて私共に近くなりました。運動時間などはわァわァと子供の声が潮の如く私の書斎に響いて来ては、子無しの私共に力をつけます。
台湾を取り、樺太の半を収め、朝鮮を併せ、南満洲に手を出し、布哇を越えて米国まで押寄する日本膨脹の雛型ででもあるように、明治四十年の二月に一反五畝の地面と一棟のあばら家から創めた私共の住居も、追々買い広げて、今は山林宅地畑地を合わせて四千坪に近く、古家ながら茅葺の四棟もあって、廊下、雪隠、物置、下屋一切を入れて建坪が百坪にも上ります。村の人となって程なく、二尺余の杉苗を買うて私は母屋の南面に風よけの杉籬を結いました。西の端に唯一本木鋏を免れた其杉苗が、今は高さ二丈五尺、幹の太さは目通り一尺五寸六分になりました。十七年の杉の成長としては思わしくありませんが、二尺の苗の昔を思えば隔世の感があります。私共の村住居の年標として、私は毎々お客に此杉の木を指します。年標の杉が太り、屋敷も太りました。巻頭の写真にも其面影は覗われます。