Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
四
四
死んだ棄児の稲次郎が古巣に、大工の妾と入れ代りに東京から書を読む夫婦の者が越して来た。地面は久さんの義兄のであったが、久さんの家で小作をやって居た。東京から買主が越して来ぬ内に、久さんのおかみは大急ぎで裏の杉林の下枝を落したり、櫟林の落葉を掃いて持って行ったりした。買主が入り込んでのちも、其栗の木は自分が植えたの、其韮や野菜菊は内で作ったの、其炉縁は自分のだの、と物毎に争うた。稲次郎の記憶が残って居る此屋敷を人手に渡すを彼女は惜んだのであった。地面は買主のでも、作ってある麦はまだおかみの麦であった。地面の主は、麦の一部を買い取るべく余儀なくされた。おかみは義兄と其値を争うた。買主は戯談に「無代でもいゝさ」と云うた。おかみはムキになって「あなたも耶蘇教信者じゃありませんか。信者が其様な事を云うてようござンすか」とやり込めた。彼女に恐ろしいものは無かった。ある時義兄が其素行について少し云々したら、泥足でぬれ縁に腰かけて居た彼女は屹と向き直り、あべこべに義兄に喰ってかゝり、老人と正直者を任せて置きながら、病人があっても本家として見もかえらぬの、慾張ってばかり居るのと、いきり立った。