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Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

三

建物も陰欝だったが、しかし、やがておシンに案内されて、木崎の部屋へはいって行った時、陽子は木崎の表情の陰欝さに驚いた。

木崎はちょうどドアをあけて、出かけようとしているところだった。東京の雑誌社から、

「シャシンイソグ……」

すぐ送らぬと間に合わぬという意味の催促の電報が来たので、断りの返事を打つため郵便局へ出かけようとしていたのだ。

「あら。お出掛け……?」

自動車で送って貰わなかったら、会い損ったわけだと、陽子はほっとしながら言ったが、

「…………」

木崎はだまって部屋の中へ戻りながら、ちらと陽子の足許を見た。その表情がぞっとするくらい陰欝だったのだ。

三

木崎の陰欝な表情については、

(なまなましい嫉妬が甦ったのだ)

と、一行の説明があれば、もはや明瞭だろうが、しかし、表情というものは、心理のズボンに出来た生活の皺だ。一行の説明はズボンの皺を伸ばすアイロンの役目をするだろうが、言葉のアイロンに頼っても、目に立たぬ細かい皺は残っているはずだ。が、この細かい皺を説明するには千行の説明を以てしても不十分だ。まして、泛んでは消え、消えては泛ぶ心理の皺は、いや、意識の流れは、ズボンの皺のように定着していない。